YN会と栗原学園
谷澤 満 東京大学法学部 米国コロンビア大学LLM フルブライト奨学生 東京第一弁護士会所属
YN会は、学校法人栗原学園の一事業として行っています。仲尾先生と矢野先生には、義父である前々理事長の急逝後の体制整備の頃から10年以上にわたって栗原学園の理事をお引き受けいただいております。私は2011年から理事長に就任し、理事会の意思決定と与えられた裁量のもとで、その職務を遂行しております。
学校法人栗原学園が経営理念として掲げているのは、次世代の育成を通じた社会貢献です。教育事業においては、自分で考え行動する子の育成を掲げてきましたが、運営するやまた幼稚園が国際バカロレア候補校となる際に、”Cultivate creative human capital who can think, act and leverage grobally”を掲げることにしました。
YN会は、もともとは仲尾先生と矢野先生の私的な取組みが母体になっています。私はその創成期の生徒で仲尾先生に出会ったのが1991年の3月、仲尾先生の紹介で矢野先生に出会ったのが1992年の夏頃でした。YN会は、仲尾先生や矢野先生、様々な方が色々な思いを持ち寄って成り立ってきましたが、YN会の取組みと栗原学園グループの掲げる理念や教育事業における社会的使命は符合するところが多いのではないかと思い、数年前にYN会という取組みに、栗原学園という形を付与する、あるいは器として利用していただくことはどうかと仲尾先生にご提案し、試験的な運用期間を経て現在の形に至っております。なお、試験運用期間には、トパーズ・キャピタル株式会社にも陰ながらご支援をいただきました。
個人としては、仲尾先生や矢野先生の教育にかける思いを一代で潰えさせてしまうのは惜しいと思い、何らかの形や仕組みを付与することで、その精神が次の世代に受け継がれる可能性を高めたいと考えておりました。もちろん、盛和塾のように一代限りとする取組みもありまし、創始者である仲尾先生や矢野先生のお考え次第ではありますが、人の集う仕組み、存続可能性のある仕組みを作ることが、次世代の育成を理念とする学園グループの理事長としての職責であり、また、少し毛色の変わった道を歩んできた私に与えられた役回りではないかと考えるに至っています。
YN会は、私立学校法上の学校ではありません。学校に通う人、あるいは、社会人に対する教育を補完する役割、あるいは、教育的機能そのものを担っていると思いますが、私立学校法上は学校法人が行う教育事業を補完する収益事業に位置づけられます。いつの日か、YN会が私立学校法上の学校による教育事業(非収益事業)を担う機会を得られるかもしれません。近年では、塾が学校の授業や補習の一部を請け負う形態も出ておりますし、経営難に陥る私立学校も出始めています。実際に、グループとしては経営難に陥った専門学校の経営を承継し、立て直しています。もちろん、YN会がそういった機会を得られるかどうかはわかりません。
学生の皆さんの目先の目標は通過点としての大学合格でありますし、学校法人としては収益事業としての塾事業ですから、大学受験で結果を出すことが事業を存続させ発展させるために必要なことではありますが、願わくは、その根底、あるいはその先にあるものに共感できる塾生を輩出できれば、そういった塾を支援するご家族の輪が拡がれば、などと思料しております。